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こもった声、音割れ、低音質の録音を修復する方法

質の悪い声の録音には、たいてい複数の問題があります。電話の音声は帯域が狭く、圧縮されています。古いテープはヒスノイズが多く、音がこもっています。Zoomの録音では、こもり、音割れ、圧縮によるアーティファクトが一度に起きていることもあります。修復するには、まず何が問題なのかを見極め、できるだけ少ない回数の処理で直すことです。問題ごとに別々のエフェクトを重ねていくと、声が元よりもかえって悪く聞こえるようになってしまいます。

Macでは、Somunoがよくある問題を1回の処理で修復します。ノイズとハム音、残響、クリッピング、高域の欠落、コーデックによる劣化、音切れ、そして安価なマイク特有の音です。電話の録音や16 kHzのファイルなど、サンプルレートの低いオーディオでは、48 kHz(高域を復元)の設定を使うと、ファイルにもともと含まれていなかった高域をモデルが再構築します。以下では、録音の問題を診断する方法、現実的に期待できること、そして手順を紹介します。

録音のどこに問題があるか?

ヘッドホンで聴き、聞こえる症状を次の原因と照らし合わせてください。

図:6種類の劣化(背景ノイズ、部屋の残響、クリッピング、高域の欠落、コーデックによる劣化、音切れ)が1つのモデルに入り、クリアな音声が出力される
Somunoのモデルはこれらの劣化をまとめて処理するので、6つのツールをつなげる必要はありません。

電話、Zoom、16 kHzの録音がこもって聞こえる理由

デジタルファイルには、サンプルレートの半分までの周波数しか記録できません。8 kHzのファイルは4 kHzまで、16 kHzのファイルは8 kHzまでです。従来の電話の音声が伝えるのは、およそ300〜3,400 Hzの範囲です。しかし、声を歯切れよく聞き取りやすくする音、つまりS、F、Tの音や声の周りの空気感は、それよりはるかに高い帯域まで伸びています。それが切り取られると、声は鈍くなり、聴いていて疲れるものになります。

ビデオ通話では、さらにもう1つの層が加わります。Zoomなどのアプリは接続に合わせて声を圧縮し、接続状態が悪いと帯域を削ることがあります。そのため、ファイル自体のサンプルレートが普通でも、会議の録音がこもって聞こえることがあります。

よくある2つの対処法は効果がありません。編集ソフトで16 kHzのファイルを48 kHzにリサンプリングしても、高域を入れる余地ができるだけで、高域そのものは加わりません。帯域の狭いファイルに対してEQで高域をブーストしても、その帯域にはブーストすべき声がないため、主にヒスノイズが大きくなるだけです。高域を取り戻すには、残っている情報から高域を再構築する必要があります。これは帯域拡張と呼ばれ、音声強調モデルにはそれができます。

「48 kHz(高域を復元)」の働き

Somunoのサンプルレートの設定はSomuno › 設定…にあり、次の2つから選べます。

電話の録音、留守番電話のメッセージ、口述録音機、16 kHzの音声データセット、その他のサンプルレートの低いオーディオに使ってください。処理前には、キュー内の各ファイルのカードにサンプルレートが表示されるので、ひと目でわかります。すでに48 kHzのファイルでは、この設定を選んでも何も変わりません。また、「元のファイルと同じ」でも、モデルはファイル自体のサンプルレートの上限まで、欠けている高域を修復します。初期設定で処理した次のポッドキャストの録音がその例です。

オリジナルノイズの多いポッドキャストの録音のスペクトログラム。言葉と言葉の間のすき間がすべてもやのようなノイズで埋まり、画像の上部、約16 kHzより上には何もない Somunoで処理後同じ録音をSomunoで処理した後のスペクトログラム。言葉の間は暗く静かなすき間になり、声の倍音がはっきりと見え、上の帯域も埋められている
約16 kHzより上に何もないポッドキャスト。Somunoで初期設定のまま処理すると、ノイズが消え、上の帯域が再構築されています。

再構築された高域は、情報に基づいた推定であって、元の音を取り戻したものではありません。声をより明瞭で自然にしますが、録音に含まれていたものではありません。

聴いてみる:1962年、宇宙飛行の無線交信

これは、マーキュリー・アトラス6号の飛行中に記録されたNASAの無線音声です。帯域が狭く、ノイズと歪みがあります。Somunoの初期設定で処理し、どちらのバージョンもラウドネスをそろえてあります。

1962年、宇宙飛行の無線交信

マーキュリー・アトラス6号の飛行中に記録されたNASAの無線音声です。帯域が狭く、ノイズと歪みがあります。音声:NASA

オリジナルの録音のスペクトログラム Somunoで処理した後の録音のスペクトログラム オリジナル補正後

オリジナル

Somunoで補正後

オリジナルのスペクトログラムでは、声が厚いノイズの帯の中に埋もれています。処理後はノイズが消え、声が明瞭に、途切れなく聞こえます。

Somunoで質の悪い録音を修復する方法

  1. 録音をSomunoのウインドウにドラッグするか、ファイル › ファイルを追加…(⌘O)を選びます。Somunoは、8〜48 kHzのWAV、AIFF、FLAC、Apple Lossless、MP3、AACと、MP4、MOV、M4Vのビデオのサウンドトラックを読み込めます。
  2. ファイルが48 kHz未満の場合は、Somuno › 設定…を開き、サンプルレートを48 kHz(高域を復元)に設定します。
  3. 同じくSomuno › 設定…で、フォーマットを確認します。「自動」では、ロスレスのファイルはロスレスのまま、MP3などの非可逆圧縮のファイルはAACになります。結果をさらに編集する場合は、WAV、AIFF、FLAC、Apple Losslessのいずれかを選んでください。
  4. ツールバーでは汎用モデルのままにし、難しい録音では速度を高品質に設定します。
  5. 開始をクリックします。
  6. 処理が終わったファイルをダブルクリックして比較を開きます。スペースキーで再生し、AキーとBキーで切り替えます。おかしな点があれば、結果をもう一度処理するのではなく、オリジナルを処理し直してください。その際は、サンプルレートをもう一方の選択肢にするか、強さを下げてオリジナルを少し混ぜ戻します。
Somunoの比較シート。ノイズフロアが高いオリジナルの波形が、静かなすき間のある補正後の波形の上に表示され、再生、「A · オリジナル」「B · 補正後」「Finderで表示」の各ボタンがある
使う前に、修復した結果をヘッドホンでオリジナルと比べてください。

期待できること、できないこと

アーカイブ、報道、研究の用途では、元の録音を記録として保管し、復元したコピーには復元版であることを明記し、誰が何を言ったかの判断を再構築された細部に頼らないでください。

古いテープやアーカイブのためのヒント

次回、質の悪い録音を避けるには

ノイズだけが問題の場合は、Macで音声の背景ノイズを除去する方法をご覧ください。箱いっぱいのテープや、1シーズン分の通話録音がある場合は、フォルダ内の録音をまとめてクリーンアップする方法をご覧ください。ほかのサンプルを聴くか、価格をご確認ください。

よくある質問

電話の録音をスタジオ録音のような音にできますか?

まったく同じにはなりませんが、ずっと明瞭にすることはできます。「48 kHz(高域を復元)」を使うと、電話回線で削られた高域をモデルが再構築します。結果は推定なので、スタジオのマイクで録ったものと同じにはならず、非常に質の悪い通話ではアーティファクトが出ることがあります。

ファイルを48 kHzに変換すると音質は良くなりますか?

変換だけでは良くなりません。リサンプリングは高域を入れる余地を作るだけで、高域そのものは加わりません。Somunoで音質が良くなるのは、48 kHzで処理する際にモデルが高域を再構築するからです。

Somunoで音割れや歪んだオーディオを修復できますか?

クリッピングは、同じ1回の処理の中で修復されます。軽いクリッピングのほうが、強い歪みよりもよく修復できます。まずは無料版で短い区間を試してください。

古いカセットテープやオープンリールの録音を復元できますか?

まずロスレスのファイルにデジタル化してください。そのうえでSomunoを使えば、テープのヒスノイズやノイズを減らし、声の欠けている高域を復元できます。声のために作られているため、テープに録音された音楽には向いていません。