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オフラインで使えるAI音声補正ツールのおすすめ:録音をアップロードせずに声をクリアに
機密のインタビュー、クライアントとの通話、証言録取、患者との会話、NDA(秘密保持契約)の対象になるものなど、録音をコンピュータの外に出せない場合は、自分のマシン上で動く音声補正ツールが必要です。Macでは、ローカルで処理するとメーカーが明言しているツールとして、Somuno、iZotope Photon、Hush、Accentize dxReviveがあります。iZotope RX、Final Cut Pro、DaVinci Resolve Studio、Antinode Clearといったデスクトップの編集ソフトやプラグインもお使いのコンピュータ上で動作しますが、メーカーがそれをはっきり書いているとは限りません。
この記事では、デバイス上で動くツール10本について、それぞれの得意分野と制限を紹介し、ツールがオフラインで動くかどうかを自分で手早く確かめる方法も説明します。Adobe Podcast、Auphonic、Cleanvoice、DescriptのStudio Soundといった人気のクラウドツールは、ファイルを自社のサーバに置く必要があるか、インターネット接続が必要なため、ここには含めていません。
Somunoは、このブログの筆者が開発したアプリです。ほかの製品に関する情報は、2026年11月に確認した各社の公式ページに基づいています。価格や機能は変わることがあるため、購入前にご確認ください。
デバイス上での処理が重要な理由
- 秘匿すべき情報源とインタビュー。記者や研究者は、録音を自分の手元から出さないと約束することがよくあります。どれほど安全なサービスでも、クリーンアップのためにアップロードすれば、その約束を破ることになります。
- 法律、医療、NDAに関わる仕事。証言録取、クライアントとの打ち合わせ、患者への聞き取り、公開解禁前(エンバーゴ)の素材などは、そもそも外部のサービスに預けることが許されない場合があります。
- 回線が遅い、またはつながらない。長いWAVファイルやビデオはサイズが大きくなります。遅い回線や従量制の回線では、クリーンアップよりアップロードのほうが時間がかかることもあり、飛行機の中ではウェブツールはまったく使えません。
- アカウントもクレジットも上限もない。ローカルのツールは、分単位で利用量を計測しません。買い切りかサブスクリプションで支払えば、コンピュータが処理できるだけ処理できます。
ひとつ注意があります。ローカル処理は役に立ちますが、それだけでワークフローがプライバシー関連の法律や契約に適合するわけではありません。所属する組織の規則も確認してください。
選定方法
ここで紹介するツールはいずれもMacで動作し、ファイルをお使いのコンピュータ上で処理します。公式ページにローカルで動作すると書かれているツールか、自分のソフトの中で動くデスクトップアプリやプラグインだけを選びました。メーカーが明言していない場合は、その旨を記しています。GoyoやAccentize VoiceGateなど、販売が終了した製品は除外しました。
ブラインドでの聴き比べテストは行っていないため、並び順は音質の順位ではありません。比較しているのは確認できる項目、つまり処理についてのメーカーの説明、対応プラットフォーム、価格、制限、ビデオとバッチ処理への対応です。
一覧
| ツール | おすすめの用途 | メーカーの説明 | 価格(2026年11月時点) | 無料で使える範囲 |
|---|---|---|---|---|
| Somuno | 録音を外に出さずにMac上でバッチ処理 | アップロードなし、オフラインで動作 | US$19.99(買い切り) | 各ファイルの最初の60秒 |
| iZotope Photon | 分離とクリーンアップ | 「何もデバイスの外に出ない」 | US$349(セール価格US$259) | 14日間の体験版 |
| Hush | Intel搭載のMacとmacOS 12 | 「Mac上でローカルに動作」 | US$89.99(買い切り) | 21日間の体験版 |
| Accentize dxRevive | 傷んだダイアログの修復 | 「100%ローカル処理」 | US$99 / US$299 | 7日間の体験版 |
| iZotope RX 12 | 細かな修復 | デスクトップソフト、クラウドでの処理の説明なし | US$99〜 | 10日間の体験版(書き出し不可) |
| Antinode Clear | 低価格のプラグイン | プラグイン、明記なし | US$69(特価US$49) | 機能制限付きの体験版 |
| Final Cut Pro | Final Cut Proで編集する人 | アプリ内、クラウドでの処理の説明なし | US$299.99 | 30日間の体験版 |
| DaVinci Resolve Studio | Resolveで編集する人 | アプリ内、クラウドでの処理の説明なし | US$295(セール価格US$236) | 無料版のResolveにはなし |
| Adobe Premiere | Premiereで編集する人 | 現行バージョンはローカル、ベータ版のV2はクラウド | 月額US$22.99 | 7日間の体験版 |
| Audacity | 一定のノイズを無料でクリーンアップ | デスクトップアプリ、OpenVINOのAIは「100%ローカル」 | 無料 | 完全無料 |
デバイス上で動く音声補正ツール10選
1. Somuno
おすすめ:録音を外に出さずに、Mac上でまとめてクリーンアップしたい場合
Somunoは、MacのGPUで動くAIの音声強調モデルを使って、オーディオファイルやビデオファイルに含まれる声から背景ノイズと部屋の残響を取り除きます。録音がアップロードされることはなく、開発者のもとにも、ほかのどこにも送られません。アカウントは不要で、インターネットに接続していなくても動作します。同じモデルがクリッピング、高域の欠落、コーデックによる劣化、音切れも修復するので、電話インタビューやZoomの録音にも向いています。フォルダごとキューに追加でき、結果は元のファイルと同じ場所に保存されます。MP4、MOV、M4Vのビデオでは、サウンドトラックだけが置き換えられます。
AppleシリコンとmacOS 14が必要で、リアルタイム処理やプラグインには対応しておらず、音楽ではなく音声のために作られています。2人が同時に話している声を分離することはできません。Somunoはまもなく公開予定です。まずはサンプルを聴いてみてください。
対応環境:Appleシリコン搭載のMac、macOS 14以降 · 価格(2026年11月時点):ウェブサイトでUS$19.99の買い切り(Mac最大3台)、Mac App Store版ではApp内課金 · 処理する場所:ローカル、オフラインで動作 · 無料で使える範囲:各ファイルの最初の60秒を補正する無料版
Somunoで補正後
2. iZotope Photon
おすすめ:話者やステムの分離も含めて、ローカルでクリーンアップしたい場合
Photonはスタンドアロンアプリ兼ARA2プラグインです。iZotopeは、12のAIモデルが「すべてGPU上でローカルに動作」し、「何もクラウドに触れず、何もデバイスの外に出ない」と説明しており、製品ページでは「エンバーゴ(公開解禁日)のある素材を扱っていますか?」と問いかけています。音声用のモデルはノイズ、エコー、音量、マイクの音色を扱い、Voice Separatorは最大6人の声を分離します。ビデオを読み込み、元のビデオストリームを保ったままビデオとして書き出せます。
ただし、Model Managerがモデルをダウンロードするにはインターネット接続が必要です(iZotopeはサポート経由でオフラインインストーラを提供しています)。Appleシリコンが必要で、製品ページにはバッチ処理についての記載がありません。
対応環境:Appleシリコン搭載のMac(macOS 14以降)、Windows · 価格(2026年11月時点):買い切りUS$349(期間限定セールでUS$259と表示)、または月額US$19/年額US$119 · 処理する場所:ローカル(GPU) · 無料で使える範囲:14日間の体験版(ファイルや書き出しの制限なし)
3. Hush
おすすめ:Intel搭載のMacや古いmacOSで、デバイス上でクリーンアップしたい場合
Hushは「Mac上でローカルに動作し、すべてのオーディオデータをプライベートかつ安全に保つ」とうたっており、App Storeのプライバシーラベルは「データの収集なし」です。広帯域ノイズ、残響、突発音を除去し、まとめてバッチ処理でき、AppleシリコンだけでなくmacOS 12やIntel搭載のMacでも動きます。
App Storeのバージョンは2023年10月のもので、対応フォーマットやビデオへの対応についての説明はありません。詳しくはSomuno vs Hushをご覧ください。
対応環境:Mac、macOS 12以降、IntelまたはAppleシリコン · 価格(2026年11月時点):米国のMac App StoreでUS$89.99(買い切り) · 処理する場所:ローカル · 無料で使える範囲:21日間の体験版
4. Accentize dxRevive
おすすめ:編集ソフトの中で、傷んだダイアログをローカルで修復したい場合
dxReviveはプラグインで、Accentizeによれば「100%ローカル処理」で、「データをクラウドに送信せずに」動作します。ノイズや残響にとどまらず、帯域が制限されたオーディオの欠けた周波数を復元し、SkypeやZoomの録音に含まれるコーデックによる劣化を除去し、クリップした音声を回復します。Pro Tools、Logic Pro、Premiere、Final Cut、DaVinci Resolveで動作します。
ホストアプリが必要で、AccentizeはCPU使用率が高めになることを想定するよう案内しています。dxRevive ProにはiLokが必要です。
対応環境:Mac(Appleシリコンにネイティブ対応)、Windows(プラグインとして) · 価格(2026年11月時点):dxRevive US$99、dxRevive Pro US$299 · 処理する場所:ローカル · 無料で使える範囲:7日間の体験版
5. iZotope RX 12
おすすめ:オフラインでの細かな修復
RXはスタンドアロンのオーディオエディタとプラグインのセットで、Voice De-noiseとDe-reverbはすべてのエディションに、オフライン処理とリアルタイム処理の両方に対応するDialogue IsolateはStandard以上に含まれています。iZotopeのRXのページにはクラウドでの処理についての説明はなく、ファイルが今ある場所でそのまま処理するデスクトップソフトです。
その代わり、Dialogue IsolateはUS$399からで、習得にはそれなりの時間がかかり、体験版では書き出しができません。詳しくはSomuno vs iZotope RXをご覧ください。
対応環境:Mac(IntelとAppleシリコン)、Windows · 価格(2026年11月時点):買い切りでElements US$99、Standard US$399、Advanced US$1,399、または月額US$15〜 · 処理する場所:ローカルのデスクトップソフト · 無料で使える範囲:10日間の体験版(書き出し不可)
6. Antinode Clear
おすすめ:声、環境音、残響を調整できる低価格のプラグインを求める場合
Antinode Clear(旧Supertone Clear)は、声、環境音、声の残響の3つのノブを備えたリアルタイムプラグインです。Antinodeのページには処理がどこで行われるかの記載はありませんが、AU、VST3、AAXのプラグインとして、お使いのコンピュータ上のホストアプリの中で動作します。
対応するのは44.1、48、96 kHzだけで、体験版は60秒ごとにノイズを出力します。また、この製品は2026年9月に所有者が変わりました。
対応環境:Mac(Appleシリコンにネイティブ対応)、Windows(プラグインとして) · 価格(2026年11月時点):買い切りUS$69(期間限定の特価でUS$49と表示) · 処理する場所:ホストアプリ内 · 無料で使える範囲:60秒ごとにノイズが入る体験版
7. Final Cut ProのVoice Isolation
おすすめ:すでにFinal Cut Proでビデオを編集している場合
Voice Isolationは、Final Cut Proに内蔵された機械学習のエフェクトで、量のスライダーで調整できます。Appleはクラウドでの処理について説明しておらず、ライブラリ内のクリップに対して動作します。
クリップごとに使う機能で、バッチ処理ツールではありません。Appleは残響を除去できるとは述べておらず、重なり合うコンポーネントに使うと「音声が不明瞭になる場合がある」としています。詳しくはSomuno vs Final Cut Proをご覧ください。
対応環境:Mac(およびiPad) · 価格(2026年11月時点):買い切りUS$299.99、またはApple Creator Studio(月額US$12.99) · 処理する場所:アプリ内(Appleはクラウドでの処理について説明していません) · 無料で使える範囲:Creator Studioの30日間の体験版
8. DaVinci Resolve StudioのVoice Isolation
おすすめ:Resolveで編集している場合
Resolve StudioのVoice Isolationは、エディタの中で「DaVinci Neural EngineのAIを使用」しており、Blackmagicはクラウドでの処理について触れていません。Studioは買い切りです。
無料版のResolveには含まれておらず、Resolve 21にはmacOS 15とAppleシリコンが必要です。
対応環境:Appleシリコン搭載のMac(macOS 15以降)、Windows、Linux · 価格(2026年11月時点):買い切りUS$295(セールでUS$236と表示) · 処理する場所:お使いのコンピュータ上(Blackmagicはクラウドでの処理について説明していません) · 無料で使える範囲:Voice Isolationについてはなし
9. Adobe PremiereのEnhance Speech
おすすめ:すでにAdobe Premiereを使っている場合
Premiereのデスクトップアプリに内蔵されたEnhance Speechは、Adobe Podcastのウェブサイトとは別物です。Adobeのスタッフは2023年に、これが「お使いのマシン上でローカルに動作するよう最適化されている」「インターネット接続は不要」と述べています。
ベータ版には注意が必要です。PremiereのベータにあるEnhance Speech V2は「Fireflyの一部としてクラウドで動作」し、クレジットを消費するので、機密性の高い音声を処理する前に、どちらのバージョンを使っているか確認してください。サブスクリプションでしか利用できません。
対応環境:Mac、Windows · 価格(2026年11月時点):月額US$22.99(年間プラン、月々払い) · 処理する場所:現行バージョンはローカル、ベータ版のV2はクラウド · 無料で使える範囲:7日間の体験版
10. Audacity(OpenVINOあり/なし)
おすすめ:無料のオフラインツールを求める場合
Audacityは無料のデスクトップエディタで、従来からあるNoise Reduction(日本語版では「ノイズの低減」)エフェクトが、一定のヒスノイズやハム音をお使いのコンピュータ上で処理します。AIによるノイズ抑制には、Intelの無料プラグインOpenVINOがあり、「PC上で100%ローカルに動作…インターネット接続は不要」とうたっています。
ただし、OpenVINOプラグインのMac版はベータ版で、Audacity 4ではなくAudacity 3.7.xでしか動きません。また、Intelのコントリビューターによれば、Mac対応はコミュニティによる貢献で、Intelの開発者はテストできないとのことです。詳しくはSomuno vs Audacityをご覧ください。
対応環境:Mac、Windows、Linux(MacでのOpenVINOはベータ版、Audacity 3.7.xのみ) · 価格(2026年11月時点):無料 · 処理する場所:ローカル · 無料で使える範囲:完全無料
知っておきたいそのほかのローカルツール
- CrumplePop(Boris FX):AudioDenoiseやEchoRemoverを含む9つのプラグインと、Photonのセットです。Boris FXは「すべてのオーディオはプライベートに保たれ、お使いのマシン上でローカルに処理される」としています。2026年11月時点で永続ライセンスがUS$369、または月額US$25か年額US$175で、15日間の体験版があります。
- Waves Clarity Vx:DAW向けのリアルタイムのノイズ除去プラグインです。Wavesは処理する場所を明記していませんが、ホストアプリの中で動作します。
- Krisp:録音済みのファイルではなく、リアルタイムの通話をクリーンアップします。ヘルプセンターには「すべての処理はお使いのデバイス上でローカルに行われる」とあります。
Windowsのみ:NVIDIA Broadcastは、ノイズと部屋のエコーをNVIDIA RTXのグラフィックカード上でローカルに除去するアプリで、RTXの所有者は無料で使えます。現在はMP4、M4A、MP3、WAVファイルを処理するFile Processorモードもあります。Mac版はありません。
ツールが本当にオフラインで動くか確かめる方法
- メーカーの説明を読みます。「安全」という言葉だけでなく、「ローカルで動作」「アップロードなし」のような明確な言葉があるかを探しましょう。
- Wi-Fiをオフにして、テスト用のファイルを処理します。失敗したり、サインインを求められたりする場合は、インターネット接続が必要です。
- ほかに何がオンラインになるかを確認します。処理自体はローカルでも、モデルをダウンロードしたり、プロジェクトをクラウドに保存したりするアプリもあります。
- Mac App Storeでは、アプリのプライバシーラベルを確認します。

選び方
- 録音が大量にあり、Appleシリコン搭載のMacを使っている場合:バッチ処理ならSomunoかHush。ノイズのバッチ処理もご覧ください。
- 複数の話者を分離したい場合:iZotope Photon。
- 電話やZoomの録音、クリップした録音の場合:どちらも帯域とクリッピングの修復をうたっているSomunoかdxRevive。質の悪い録音を修復する方法もご覧ください。
- ピンポイントで細かく作業したい場合:iZotope RX。
- 編集ソフトの中で済ませたい場合:Final Cut Pro、Resolve Studio、またはPremiereの現行のEnhance Speech。
- 予算がない場合:Audacity、または各ファイルの最初の1分を補正できるSomunoの無料版。
どのツールを使うにしても、どんなクリーンアップよりも良い録音のほうが効果があります。マイクの近くで録音し、数秒間のルームトーンを残し、ロスレスのファイルを使い、結果はヘッドホンで確認しましょう。ノイズ全般については、Macにおすすめのノイズ除去ソフトのまとめをご覧ください。
よくある質問
Adobe Podcast Enhance Speechのオフライン版はありますか?
いいえ。Adobe Podcastは、ファイルをアップロードして処理するウェブツールです。Adobeのスタッフによれば、Adobe Premiereのデスクトップアプリに内蔵されたEnhance Speechは、現行バージョンではローカルで動作します。Adobe Podcastの代替ツールもご覧ください。
オフラインの音声補正ツールでも、インターネット接続が必要になることはありますか?
アクティベーション、サインイン、モデルのダウンロードのために必要なものもあります。Somunoはアカウント不要で、インターネットに接続せずに処理できます。iZotope PhotonはModel Managerにインターネット接続が必要です。
法律や医療の録音なら、ローカル処理で十分ですか?
第三者へのアップロードというリスクの1つはなくなりますが、それだけでワークフローが規則に適合するわけではありません。ファイルの保管と取り扱いについては、所属する組織の規則に従ってください。
デバイス上で動くツールは、クラウドのツールより遅いですか?
お使いのコンピュータとファイルの長さによります。アップロードもダウンロードもないので、大きなファイルでは時間の節約になることがあります。Somunoでは、長いファイルの場合、「高速」は「高品質」より約1.7倍速く処理します。