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Somuno vs iZotope RX 12:本格的な修復スイートか、ワンステップの音声クリーンアップか
iZotope RX 12とSomunoはどちらも声の録音をきれいにしますが、性格のまったく異なるツールです。オーディオのポストプロダクションに携わっている場合や、修復のすべてを自分でコントロールしたい場合はRXが向いています。スペクトラルエディタ、数十の個別の修復モジュール、DAWやビデオ編集ソフトの中で動くプラグインを備えています。ツール群の使い方を覚えずに、録音やビデオをMacアプリにドロップするだけでクリアな音声を得たい場合はSomunoが向いています。ノイズ、残響などの劣化を一度にまとめて処理し、フォルダごと処理でき、価格はUS$19.99の買い切りです。
RXの試聴テストは行っていないため、この比較では確認できる事実に絞ります。各RXエディションに含まれるもの、価格、動作する場所、そしてビデオとバッチ処理をそれぞれどう扱うかです。RX 12は2026年4月にRX 11の後継として登場し、2026年7月にはBoris FXがiZotopeを買収しました。違いを聴くには、同じ録音で両方を試してみてください。その方法は最後のセクションで紹介します。
Somunoは、このブログの筆者が開発したアプリです。iZotope RXとiZotope Photonに関する情報は、iZotopeとBoris FXの公式ウェブサイトに基づき、2026年11月に確認したものです。価格やエディションは変わることがあるため、購入前にご確認ください。
SomunoとiZotope RX 12の比較一覧
| Somuno | iZotope RX 12 | |
|---|---|---|
| 概要 | オーディオやビデオに含まれる声からノイズと残響を取り除き、劣化した録音を修復するMacアプリ | オーディオ修復スイート。スペクトル編集ができる単体のオーディオエディタと、DAWやビデオ編集ソフト用のプラグイン。Elements、Standard、Advancedの3エディション |
| 音声を処理する場所 | お使いのMacのGPU上。アップロードは一切なし | お使いのコンピュータ上のRXアプリまたはプラグイン。iZotopeのページにはクラウド処理についての記載なし |
| 対応環境 | Appleシリコン(M1以降)搭載のMac、macOS 14 Sonoma以降 | Mac(IntelとAppleシリコンにネイティブ対応)、macOS Sonoma、Sequoia、Tahoe。Windows 10、11 |
| 価格(2026年11月時点) | ウェブサイトでUS$19.99の買い切り(Mac最大3台)。Mac App Store版ではApp内課金で、価格はAppleが設定。サブスクリプションなし | 買い切り:Elements US$99、Standard US$399、Advanced US$1,399。サブスクリプションの場合:ElementsはiZotope Plus(月額US$15)、StandardはiZotope Pro(月額US$25)に含まれる。Advancedはどのサブスクリプションにも含まれない |
| 無料版・体験版 | 無料版ですべての機能を利用可能。各ファイルの最初の60秒を補正 | 無料版なし。RX 12 Standardには書き出し機能が無効な10日間の体験版あり。サブスクリプションには7日間の無料体験あり |
| 修復できるもの | 背景ノイズとハム音、部屋の残響とエコー、クリッピング、高域の欠落、コーデックによる劣化、音切れ、低品質なマイク。これらを一度に処理 | 音声ノイズ、ダイアログの分離、残響、ブレス、かぶりなどに個別のツール。Advancedでは風切り音の除去と、失われた高域を補うSpectral Recoveryが加わる |
| ビデオファイル | MP4、MOV、M4V:サウンドトラックを置き換え、映像は再エンコードせずにコピー | MOVやM4Vなどのビデオファイルからオーディオを読み込む。プラグインはPremiere ProやDaVinci Resolveなどのビデオ編集ソフトの中で動作 |
| バッチ処理 | あり。ファイルやフォルダ全体をキューに追加 | StandardとAdvancedにBatch Processorあり。Elementsにはなし |
| アカウント・インターネット接続 | アカウント不要。オフラインで動作 | 確認したページには記載なし。RXのライセンスはアクティベーションが必要で、RX 12.1ではBoris FXのアクティベーション方式が追加された |
iZotope RXのほうが適している場面
RXはオーディオのポストプロダクションで広く使われている修復スイートで、Somunoはそれに取って代わろうとするものではありません。RXには次のような特長があります。
- スペクトラルエディタ:録音を時間ごとの周波数として表示し、ファイル全体を同じように処理するのではなく、選択した範囲だけに手を加えられます。
- 充実した修復ツール群:iZotopeによるとツールは50種類以上あり、音声ノイズ、ダイアログの分離、残響、ブレス、かぶり、風切り音、衣擦れ音にそれぞれ個別のモジュールがあるほか、Repair Assistantも備えています。モジュールごとに固有のコントロールがあります。
- 編集ソフトの中で使えるプラグイン:AU、AAX、AAX AudioSuite、VST3、ARAに対応しています。iZotopeは対応ホストとしてLogic Pro、Pro Tools、Premiere Pro、DaVinci Resolve、REAPERなどを挙げており、セッションを離れずにダイアログを修正できます。
- リアルタイム処理:Voice De-noiseはリアルタイムで動作し、Dialogue Isolateはオフラインでもリアルタイムでも動作します。
- 音声以外にも対応:StandardとAdvancedにはMusic Rebalanceプラグインが含まれ、Advancedにはダイアログ、音楽、効果音のバランスを調整するScene Rebalanceも加わります。
- WindowsとIntel搭載のMac:RXはどちらでも動作します。SomunoにはAppleシリコン搭載のMacが必要です。
Somunoにはこれらのどれもありません。プラグインではなく、スペクトル編集や帯域ごとのコントロールもなく、リアルタイムでは動作しません。また音声専用に作られているため、音楽など音声以外の音は除去されたり歪んだりします。毎日ダイアログを編集しているなら、RXの細かなコントロールには、その価格と習得にかかる時間に見合う価値があります。
必要なRX 12のエディションは?
声の録音にとって特に重要なツールを、iZotopeのエディション比較からまとめました。
| Elements | Standard | Advanced | |
|---|---|---|---|
| Voice De-noise | あり | あり | あり |
| De-reverb | あり | あり | あり |
| Dialogue Isolate | – | あり | あり。さらに高品質なオフラインモードとマルチバンド処理 |
| Spectral De-noise | – | あり | あり |
| Batch Processor | – | あり | あり |
| Spectral Recovery(失われた高域) | – | – | あり |
| De-wind、De-rustle、Dialogue Contour、Ambience Match | – | – | あり |
| 買い切り価格(2026年11月時点) | US$99 | US$399 | US$1,399 |
| サブスクリプション | iZotope Plus | iZotope Pro | なし |
RX Elementsは、iZotopeが「エアコンから街の騒音まで、あらゆるもの」を除去するとしているVoice De-noiseと、De-reverbで、基本的な音声のクリーンアップをカバーします。iZotopeが「ノイズと残響に埋もれた録音を救い出せる」としているDialogue IsolateはRX Standardから含まれ、RX Advancedではそのほかのダイアログ用ツールが加わります。
2026年11月時点で、iZotope Plusは月額US$15または年額US$150でRX 12 Elementsを含み、iZotope Proは月額US$25または年額US$250でRX 12 Standardを含みます。どちらも7日間の無料体験があります。RX自体には無料版がありません。RX 12 Standardは書き出しが無効な状態で10日間使え、その後は一定間隔で無音が挿入されるデモモードに切り替わります。
SomunoはウェブサイトでUS$19.99の買い切り(Mac最大3台、30日間返金保証付き)、Mac App Store版ではApp内課金です。無料版は各ファイルの最初の60秒を補正します。Somunoは近日公開予定なので、価格のページをご覧ください。
Somunoはどこが違うのか
Somunoはモジュールを連ねる代わりに、1つのAI音声強調モデルをMacのGPU上で実行し、そのモデルが複数の種類の劣化を一度に処理します。どの問題から先に直すかを決める必要はありません。
設定項目はわずかです。「汎用モデル」か、ノイズを除去しつつ笑い声は残す「笑い声を残す」。「高速」か「高品質」。電話や16 kHzの録音向けの「48 kHz(高域を復元)」オプション。そしてオリジナルの音を混ぜ戻す0〜100%の「強さ」スライダーです。RXに比べてコントロールできる範囲ははるかに狭いものの、インタビューや講義、ポッドキャストをときどきクリーンアップするだけなら、覚えることもはるかに少なくて済みます。
違いがよく表れるのが高域の欠落です。RXでは、Advancedにしかないモジュール、Spectral Recoveryの役割で、iZotopeによると「リアルタイムのストリーミング用にオーディオを圧縮した際に失われる、4k以上の周波数の復元に役立つ」ものです。Somunoでは、高域の再構築は、モデルがすべてのファイルに対して行う処理の一部です。両者の結果は比較していません。こもった音、音割れ、低品質な録音を修復する方法もご覧ください。
以下は、途切れなく続く背景ノイズに埋もれたポッドキャストの声を、Somunoの初期設定で処理した結果です(両方のラウドネスはそろえてあります)。これはSomunoの結果だけで、このクリップはRXでは処理していません。
背景ノイズのあるポッドキャスト
途切れなく続く背景ノイズに埋もれたポッドキャストの声です。
オリジナル補正後
オリジナル
Somunoで補正後
オリジナルでは、言葉と言葉のすき間がすべてもやのようなノイズで埋まり、約16 kHzより上には何もありません。Somunoで処理した後は、すき間が暗くなり、音声の倍音がくっきりと浮かび上がり、最上部の帯域も埋まっています。
バッチ処理とビデオファイル
RXのBatch ProcessorはStandardとAdvancedにあり、Elementsにはありません。ビデオについては、iZotopeのサポートドキュメントに、RXが読み込めるフォーマットとしてMOVやM4Vなどが挙げられており、以前のバージョンのマニュアルには、読み込まれるのはオーディオだけだと書かれています。ビデオのプロジェクトでは、RXは編集ソフトの中でプラグインとして使うほうが自然です。
Somunoはバッチ処理を前提に作られています。多数のファイルやフォルダ全体をキューに追加すると、結果はそれぞれ元のファイルと同じ場所か、指定したフォルダに、名前に「-enhanced」を付けて保存されます。MP4、MOV、M4Vのファイルでは、サウンドトラックだけを置き換え、映像は再エンコードせずにコピーします。フォルダ内の録音をまとめてクリーンアップする方法とビデオの音声をクリアにする方法もご覧ください。

iZotope、Boris FX、そして新しいPhotonアプリ
2026年7月2日、Boris FXはNative InstrumentsからiZotopeを買収したと発表しました。iZotopeは現在Boris FX内の事業部門となっており、発表によると、iZotopeのすべての製品、ライセンス、サブスクリプションは引き続き完全に有効です。2026年10月15日にリリースされたRX 12.1では、Boris FXのライセンスアクティベーションに対応しました。
2026年11月には、iZotopeはiZotope Photonもリリースしました。RXには含まれない別の製品で、iZotopeの製品の中ではSomunoに最も近いものです。単体アプリ(ARAプラグインとしても利用可能)で、AIモデルをローカルで実行し、ノイズの多いオーディオをクリーンアップしたり、録音をステムに分離したりできます。最大6人の声を別々に分けることもできます。Macでは、Appleシリコン(M1以降)とmacOS 14以降が必要で、MP4やMOVなどのビデオファイルを開けます。Photonはテストしていません。価格と体験版についてはiZotopeのサイトをご覧ください。
どちらを選ぶべきか
iZotope RXが向いている場合
- オーディオのポストプロダクションに携わり、充実した修復ツール群が必要
- 問題箇所をスペクトラルエディタで見て編集したい
- Pro Tools、Logic Pro、Premiere Pro、DaVinci Resolve、REAPERの中で修復プラグインを使いたい
- リアルタイム処理が必要
- 音楽も扱う、またはダイアログ、音楽、効果音を分離する必要がある
- WindowsやIntel搭載のMacを使っている
Somunoが向いている場合
- どのモジュールで何を直すかを覚えずに、1ステップで音声をクリアにしたい
- 同じように処理したいインタビュー、講義、エピソードがフォルダ単位である
- MP4、MOV、M4Vのビデオのサウンドトラックを、映像には手を加えずにクリーンアップしたい
- 録音にノイズや残響だけでなく、クリッピング、高域の欠落、コーデックによる劣化もある
- サブスクリプションなしで、US$19.99の買い切りがいい
結論:RXはプロ向けの作業台で、Somunoは音声に特化したツールです。修復が仕事の一部なら、RXのエディタ、モジュール、プラグインには費用に見合う価値があります。主に声の録音をクリアにしたい、しかも一度にたくさん処理することが多いという場合は、Somunoならほとんど設定せずにそれができます。
ご自分の録音で比較する方法
- 気になる問題がある録音を選びます。Somunoの無料版は各ファイルの最初の60秒を補正するので、最初の1分にノイズやエコーが最もひどい部分があるファイルを使うか、その部分を1分間のWAVクリップとして書き出します。
- RXの体験版では書き出しができないため、RXの中で聴いて判断します。まずは全エディションにあるVoice De-noiseとDe-reverbを試し、Standardを検討しているならDialogue Isolateも試します。
- 同じファイルをSomunoの初期設定で処理し、比較シートでオリジナルと補正後を切り替えます。
- ほぼ同じラウドネスで、ヘッドホンで比較します。音が大きいほうが、常に良く聞こえるものです。
- 話の合間を聴きます。ノイズは消えているか、それとも言葉の間でポンピングしていないか。次に子音を聴きます。S、T、Fの音ははっきりしたままのはずです。
- 処理されすぎているように聞こえたら、効果を弱め(Somunoなら「強さ」、RXなら各モジュールの適用量)、もう一度聴きます。

どのツールを使うにしても、最も大切なのは録音そのものです。マイクに近づく、ラグやカーテンで部屋の響きを抑える、数秒間のルームトーンを録っておく、できるだけロスレスのファイルを残す、そして声がクリアに聞こえたらそれ以上処理しない、といったことを心がけてください。ほかの例は処理前と処理後のサンプルで紹介しています。
よくある質問
SomunoはiZotope RXより音が良いですか?
RXの試聴テストは行っていないため、どちらとも言えません。また、結果は録音や、RXのモジュールの設定によっても異なります。同じファイルで両方を試してみてください。
ダイアログのクリーンアップには、どのRXエディションが必要ですか?
Elements(US$99)にはVoice De-noiseとDe-reverbがあります。Standard(US$399)ではDialogue Isolate、Spectral De-noise、Batch Processorが加わります。Advanced(US$1,399)ではさらにSpectral Recovery、De-windなどが加わります。価格は2026年11月時点のものです。
iZotope RXに無料版はありますか?
いいえ。RX 12 Standardには、書き出しが無効な10日間の体験版があります。iZotope PlusとProのサブスクリプションには、7日間の無料体験があります。
SomunoはPro Tools、Logic Pro、Premiere Proのプラグインとして使えますか?
いいえ。Somunoはファイルを処理する単体のアプリです。ダイアログを書き出し、Somunoでクリーンアップしてから、結果を読み込んでください。RXはこの3つすべてでプラグインとして動作します。
iZotope PhotonはRXの一部ですか?
いいえ。PhotonはiZotopeの別の、より新しいアプリです。ローカルで動作し、macOS 14以降を搭載したAppleシリコンのMacが必要で、ビデオファイルを開けます。