ブログ › 比較
Somuno vs Adobe Podcast Enhance Speech:Macで処理するか、クラウドで処理するか
Adobe Podcast Enhance SpeechとSomunoの基本的な役割は同じで、どちらも声の録音から背景ノイズとエコーを取り除きます。違うのは、その処理が行われる場所です。Enhance Speechはウェブアプリで、ファイルをAdobeにアップロードし、クラウドで処理された結果をダウンロードします。SomunoはMacアプリで、ノイズ除去をお使いのコンピュータ上で行うため、録音がそこから外に出ることはありません。
Appleシリコン搭載のMacをお持ちでない場合や、ファイルが短くて数も少ない場合は、Adobe Podcastが向いています。無料プランはChrome、Safari、Edge、Firefoxで使え、最長30分のオーディオファイルを1つずつ、1日あたり最大1時間まで処理できます。録音をアップロードすべきでない場合、オフラインで作業する場合、長いファイルやビデオ、フォルダ全体を扱う場合、あるいは支払いを1回で済ませたい場合は、Somunoが向いています。2026年8月30日以降、新規のお客様がEnhance SpeechのPremium機能を使うには、月額US$19.99(2026年11月時点)のAdobe Firefly Proが必要です。Enhance Speechの試聴テストは行っていないため、同じ録音を両方で処理して比べてみてください。
Somunoは、このブログの筆者が開発したアプリです。Adobe PodcastとAdobe Premiereに関する情報は、Adobeの公式ウェブサイト、プランのページ、ヘルプページ、およびAdobeのコミュニティフォーラムに投稿されたAdobeスタッフの書き込みに基づき、2026年11月に確認したものです。Adobeのプランは最近変更されたばかりなので、購入前にご確認ください。
SomunoとAdobe Podcastの比較一覧
| Somuno | Adobe Podcast Enhance Speech | |
|---|---|---|
| 概要 | オーディオやビデオに含まれる声からノイズと残響を取り除き、劣化した録音を修復するMacアプリ | 声の録音からノイズとエコーを取り除くAdobeのウェブアプリ。Adobe Podcastの一部 |
| 音声を処理する場所 | お使いのMacのGPU上。アップロードは一切なし | Adobeのクラウド。ファイルを1つずつアップロードし、結果をダウンロード |
| 対応環境 | Appleシリコン(M1以降)搭載のMac、macOS 14 Sonoma以降 | ウェブブラウザ:最新のChrome、Safari、Edge、Firefox(デスクトップとモバイル)。MacアプリやiPhoneアプリはなし |
| 価格(2026年11月時点) | ウェブサイトでUS$19.99の買い切り(Mac最大3台)。Mac App Store版ではApp内課金で、価格はAppleが設定。サブスクリプションなし | 無料プランあり。Premium機能はAdobe Firefly Pro(月額US$19.99)でのみ利用可能で、毎月4,000の生成クレジットも付属 |
| 無料で使える範囲 | 無料版ですべての機能を利用可能。各ファイルの最初の60秒を補正 | 無料プラン:オーディオのみ、1回に1ファイル、1ファイルあたり最長30分・最大500 MB、1日1時間まで、強さの調整なし |
| 修復できるもの | 背景ノイズとハム音、部屋の残響とエコー、クリッピング、高域の欠落、コーデックによる劣化、音切れ、低品質なマイク | 声の録音に含まれるノイズとエコー。Adobeによると、レベルの調整とノーマライズも行う。Premiumでは音声、背景ノイズ、音楽を分離可能 |
| ビデオファイル | MP4、MOV、M4V:サウンドトラックを置き換え、映像は再エンコードせずにコピー | Premiumのみ(MP4、MOV、M4V)。無料プランはオーディオのみ |
| バッチ処理 | あり(無料版でも可)。ファイルやフォルダ全体をキューに追加 | Premiumのみ:一括アップロードして自動でキュー処理。無料プランは1ファイルずつ |
| アカウント・インターネット接続 | アカウント不要。オフラインで動作 | 無料プランでもAdobeアカウントが必要。ファイルごとのアップロードとダウンロードにインターネット接続が必要 |
ブラウザで処理するか、Macで処理するか:何が違うのか
Adobe Podcast Enhance Speechでは、ファイルをアップロードするとAdobeのサーバが処理し、ノイズを除去したファイルをダウンロードします。Adobeは、アップロードとダウンロードの速度は「お使いのインターネット接続の速度によって異なる」としています。Somunoは、AIの音声強調モデルをMacのGPU上で実行します。録音がアップロードされることはなく、開発者にもほかの誰にも送られません。アカウントは不要で、オフラインでも動作します。
- プライバシー:Adobeのセキュリティを評価しているわけではありません。問題は、そもそもコピーがコンピュータの外に出るかどうかです。未公開のエピソード、機密のインタビュー、研究や法律関係の音声は、外部のサービスに一切渡せない場合があります。
- 回線:長いWAVファイルやビデオはサイズが大きくなります。回線が遅いと、ノイズ除去そのものより転送のほうに時間がかかることがあり、オフラインではウェブツールはまったく使えません。
- ハードウェア:この点は明らかにAdobeが有利です。Enhance Speechは、最新のブラウザさえあれば、Windows、Linux、Intel搭載のMacなど、どのコンピュータでも使えます。Adobeはモバイルブラウザも対応環境に挙げています。SomunoにはAppleシリコン搭載のMacとmacOS 14以降が必要です。
Adobeの無料プランでできること
Adobeアカウントが必要です。2026年11月時点で、Adobeのプランのページには、無料のEnhance Speechの制限として次の項目が挙げられています。
- オーディオのみ(「ビデオには非対応」)
- 「一括処理なし、1つずつアップロード」
- 「強さの調整なし」
- 1ファイルあたり30分・500 MBまで、1日あたり1時間分のオーディオまで
Adobeによるとフォーマットの変換は行わないため、アップロードしたときと同じフォーマットで戻ってきます。ボイスメモや、たまに扱うインタビューのクリップなら、無料のまま作業を終えられることもあります。2時間の講義は先に分割する必要があり、1日分の録音は1日1時間の枠に収まりません。
Somunoの無料版は逆の考え方です。バッチ処理、ビデオ、すべての設定と、機能はすべて使えますが、補正されるのは各ファイルの最初の60秒だけです。購入前に結果を聴いて確かめるためのもので、長いファイルを仕上げるためのものではありません。短いクリップなら、Adobeの無料プランのほうが無料でできることは多くなります。
Adobe Podcast PremiumはFirefly Proの一部に
これは最近の変更です。Adobeのヘルプページには「2026年8月30日以降、AdobeはAdobe Podcast Premiumを単体プランとして新規メンバーに販売しなくなります」とあります。2026年11月時点の状況は次のとおりです。
- 新規のお客様は、Adobe Firefly ProでPremium機能を利用できます。表示価格は月額US$19.99(月払い)です。Adobeの生成AIツールで使える生成クレジットが毎月4,000含まれます。
- 既存のPodcast Premium加入者は現在の価格のまま継続でき、AdobeはFirefly Standardを追加料金なしで付けています。2026年8月30日以降に解約した場合、Premiumを再び使うにはFirefly Proを購入する必要があります。
Premiumでは、1ファイルあたり1 GB・2時間まで、1日あたり4時間分の音声を補正できます。ビデオファイル、一括アップロード、音声・音楽・環境音のスライダーが加わります。2026年3月のアップデート以降は、音声、背景ノイズ、音楽を別々のステムとしてダウンロードすることもできます。
Somuno Proは、SomunoのウェブサイトでUS$19.99の買い切りです。ご自身が所有または使用するMac最大3台で使え、30日間返金保証が付きます。Mac App Store版ではApp内課金で、価格はAppleが設定します。サブスクリプションも1日あたりの上限もありません。Firefly Proを表示どおりの月額で1年間使うと約US$240になりますが、Adobeの生成AIツールも含まれるため、それらを使うのであれば単純には比較できません。Somunoは近日公開予定です。詳しくは価格のページをご覧ください。
Adobe PremiereのEnhance Speechは?
Adobe Premiere(Premiere Proの新しい名称)には、エッセンシャルサウンドパネルに独自のEnhance Speechがあり、Mix Amount(ミックス量)スライダーが付いています。2026年11月時点の状況は次のとおりです。
- 製品版のアプリは、モデルの最初のバージョンであるV1を使っています。Adobeのスタッフは2023年に、これはローカルで動作し「インターネット接続は不要」だと書いています。
- 2026年9月2日に発表されたPremiere Beta 27.0では、Enhance Speech V2が試験的に導入されています。Adobeによると、これは「Fireflyの一部としてクラウドで動作」し、1分あたり2つの生成クレジットを消費します。ベータ版のため、変更される可能性があります。
- Premiereの単体プランは月額US$22.99(年間プラン、月払い)で、毎月25の生成クレジットと7日間の無料体験が付いています。
すでにPremiereで編集しているなら、まず内蔵のEnhance Speechを試してみてください。それで十分な場合もあります。
ビデオファイルと長時間のバッチ処理
SomunoはMP4、MOV、M4Vのファイルを開き、サウンドトラックだけを置き換えて、映像は再エンコードせずにコピーします(ビデオの音声をクリアにする方法を参照)。バッチ処理は無料版でも使えます。ファイルやフォルダ全体をキューに追加すると、結果はそれぞれ元のファイルと同じ場所か、指定したフォルダに、名前に「-enhanced」を付けて保存されます。Adobeでは、ビデオと一括アップロードのどちらにもPremiumが必要です。

それぞれが声に施す処理
Adobeのキャッチコピーは「声の録音からノイズとエコーを除去」です。FAQによると、Enhance Speechは「ノイズやアーティファクトを取り除き、ピッチと音量レベルを調整し、オーディオをノーマライズすることで音声を向上させる」もので、結果は「話し手の声の聞き取りやすさと背景ノイズの量によって異なる」とされています。これは、ここで取り上げるどのツールにも言えることです。
Somunoは1つのモデルで、背景ノイズとハム音、部屋の残響、クリッピング、高域の欠落、コーデックによる劣化、音切れ、低品質なマイクに対処します。モデルは「汎用モデル」か、ノイズを除去しつつ笑い声は残す「笑い声を残す」から選べ、0〜100%の「強さ」スライダーでオリジナルの音を混ぜ戻せます。Adobeとは異なり、Somunoはラウドネスのノーマライズを行わず、音楽や環境音のスライダーもありません。
以下は、響きの大きい広い部屋で離れた位置から収録した講演を、Somunoの初期設定で処理した結果です(ラウドネスはそろえてあります)。これはSomunoの結果だけで、このクリップはAdobe Podcastでは処理していません。
残響の大きい部屋での話し声
響きの大きい広い部屋で、離れた位置から収録した講演です。
オリジナル補正後
オリジナル
Somunoで補正後
オリジナルでは、一定のノイズフロアの上で、各音節が次の音節へと尾を引いています。Somunoで処理した後は、音節が1つずつ分かれた線になり、その間に暗いすき間ができています。詳しくは声の録音からエコーを除去する方法をご覧ください。
どちらを選ぶべきか
Adobe Podcastが向いている場合
- Appleシリコン搭載のMacを持っていない、またはWindows、Linux、共有のコンピュータで作業する
- 扱うのが、無料プランに収まる短いオーディオクリップである
- すでにFirefly Proを契約しているか、Podcast Premiumを継続している
- 音声・音楽・ノイズのステムや、音楽と環境音のスライダーが欲しい
- Enhance Speechが内蔵されたPremiereで編集している
Somunoが向いている場合
- 録音をアップロードすべきでない
- オフラインや遅い回線で作業する、または長いファイルを扱う
- ビデオファイルの音声を補正し、映像には手を加えたくない
- 1日の上限を気にせず、フォルダごと処理したい
- サブスクリプションより買い切りがいい
結論:たまに短いクリップを処理するだけなら、どのコンピュータでも無料で使えるAdobe Podcast Enhance Speechが手軽な選択肢です。Somunoは、ノイズ除去を自分のMacの中だけで完結させたいMacユーザー向けで、ビデオとバッチ処理も含めて買い切りで使えます。
ご自分の録音で比較する方法
- 気になるノイズやエコーが入った1分間のオーディオクリップを、できればWAVで書き出します。これならSomunoの無料版にもAdobeの無料プランにも収まります。
- 両方で、初期設定のまま処理します。
- 聴く前にラウドネスをそろえます。Adobeはオーディオをノーマライズしますが、音が大きいほうが、最初はほぼ必ず良く聞こえるからです。
- ヘッドホンで聴きます。話の合間でノイズは消えているか、それともポンピング(音量が不自然に上下する現象)が起きていないか。S、T、Fの音ははっきりしたままか、語尾は消えずに残っているかを確かめます。
- 処理されすぎているように聞こえたら、Somunoの「強さ」(PremiumならAdobeの強さ)を下げて、もう一度聴きます。

どのツールを使うにしても、どんな補正よりも録音そのものを良くするのが一番です。マイクに近づく、部屋の響きを抑える、数秒間のルームトーンを録っておく、ロスレスのファイルを残しておく、といった工夫が効きます。ほかの選択肢はAdobe Podcastの代替ツールで、ほかの例は処理前と処理後のサンプルで紹介しています。
よくある質問
Adobe Podcast Enhance Speechは無料ですか?
はい、ただし制限があります。2026年11月時点で、無料プランにはAdobeアカウントが必要で、扱えるのはオーディオのみ、1回に1ファイル、1ファイルあたり最長30分・最大500 MB、1日1時間までです。ビデオ、一括アップロード、より大きな上限にはPremiumが必要で、新規のお客様はFirefly Proを通じて利用することになります。
Adobe Podcast Premiumを単体で購入することはまだできますか?
新規のお客様はできません。Adobeは2026年8月30日に、新規メンバーへの単体プランとしての販売を終了しました。既存の加入者は、プランと価格をそのまま維持できます。
Adobe Podcastはオフラインで使えますか?
いいえ。Enhance SpeechはファイルをAdobeのクラウドで処理します。Somunoはお使いのMac上でファイルを処理し、オフラインでも動作します。Adobe Premiereでは、製品版のEnhance Speech(V1)はローカルで動作し、ベータ版のV2はクラウドで動作します。
SomunoはWindowsやブラウザで使えますか?
いいえ。SomunoにはAppleシリコン(M1以降)搭載のMacと、macOS 14 Sonoma以降が必要です。そうしたMacがない場合は、Adobeのブラウザツールが現実的な選択肢です。
SomunoはAdobe Enhance Speechより音が良いですか?
Enhance Speechの試聴テストは行っていないため、どちらとも言えません。また、結果は録音によっても異なります。同じクリップを両方で処理し、ラウドネスをそろえて、ヘッドホンで聴き比べてください。